冬のソナタの舞台として有名な春川に、
翰林大学という大学
がある。元々病院から始まり、その関係で医学部が有名な
大学なのだが、今では多くの学部学科を有する総合大学だ。
その日本学科で、教授をされている齋藤明美先生とは2年前
から親しくお付き合いをさせて頂いているのだが、2週間ほど前、
先生から、担当しているビジネス日本語の授業で、
「学生を前に講演をしてくれないか」
と電話があった。講演なぞ私にはとても無理だと言ったのだが、
聞いてみると、学生は30人ほどで、小さな教室で、就職のことなど
について学生に話せばいいので、そんなに大げさに構えなくても
いいという。先生の頼みでもあるので、それならと引き受けることに。
前日の昨日、夜に急いで話す内容をまとめ、朝10時に東ソウル
バスターミナルから春川に向かった。春川までは1時間半ほどで
到着。春川の市外バスターミナルはこじんまりしていて小奇麗だった。
タクシーで大学に向かい、学食で先生と昼食を共にした。食事後、
1時からが先生の授業である。いざ教室へ。段々緊張が高まる。
元々大勢の前で話をするのは得意なほうではない。すぐ緊張する。
教室には25〜30人ほどの学生が座って待っていた。
超どきどきしながら壇上へ・・・。
「みなさん、こんにちわ!(韓国語)」
日本語で講演するとばかり思っていた学生達は少し驚いたようだ。
なにせ、齋藤先生には日本語の授業なので、日本語で話してくれ
と言われていた。でも、挨拶と自己紹介、そしてなぜ韓国語で話し
始めたかについて冒頭約20分ほどは韓国語で話した。その理由は、
日本語を学習しているみんなと同じように、私も韓国語という外国語
を学習した経験があり、また今でも学習を続けている立場なんだと、
外国語を学習する苦労はよく理解できるし、共感できるということを
伝えたかったからだ。私は、外国語学習で苦労したこともないような
人に「外国語を話せるのは基本だからがんばれ」なんて偉そうに
言われたくない。特に今日は就職の話もするから、前置きをして
おきたかったのだ。
「では、日本語で話します(日本語)」
日本で一般的な大学生が就職活動をするとき、どのような過程を
経て、どういったことに苦労するのか、会社に入った直後の苦労や
失敗など、自分の経験を含めて話をした。また、韓国の百貨店や
マート(大型スーパー)などで経験した接客マナーにおける日韓の
違いについても話をした。学生達がどれくらい理解してくれたかは
わからないが、かなり真剣に、興味深く聞いてくれたように思え、
うれしくなった。結構笑いも取れたので一安心(笑)
講演後、構内のピザショップで学生全員と談笑した。各自、ひとこと
と自己紹介をした。そこで驚いたのは韓国人学生の積極性だ。普通、
日本なら、「ひとこと言え」は、「よろしく」くらいで済ませるのではないか。
しかし、みんな、「趣味は何?」、「韓国の一番好きな場所はどこ?」、
「日本のデザイン学校に行きたいのでアドバイスを?」、さらには
「自分は千葉ロッテマリーンズが好きだが、好きな球団は?」まで様々
な質問を投げてきた。こういう態度は日本人学生も見習うべきだろう。
非常に楽しく、有意義な経験だった。学生たちの熱心さに感心もした。
後ろ髪を引かれる思いで、春川を後に、ソウルに向かうバスに乗った。